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相続税

第8回 自社株の評価額に対する対策 (3)

自社株の評価額を引き下げたい場合のポイント説明の続きになります。

  1. 会社の区分
  2. 評価に用いる要素
  3. 保有する株式数

自社株の評価額を押し上げる要因の一例として「3.保有する株式数」に関しての対策のポイントです。

3つ目の要因として保有する株式数についてですが、発行済株式総数に占めるオーナー経営者の保有株式数が多い、すなわち保有割合が高い場合にはオーナー経営者の保有する自社株の評価額は高くなります。これはある意味自明のことではありますが、保有割合は低いほうが、オーナー経営者として保有する株式の評価額は相対的に低くなりますので、経営に対する影響力を残しつつ可能な限り保有割合をいかに下げていくかが、対策の基本方針になってきます。

また、保有割合を下げていく方法としては第三者に対する新株の割当てというかたちで増資を伴うケースと、後継者などに自分の保有株式を譲渡・贈与するケースが大きく分けてありますが、前者は純資産額の増加を招き、さらに経営権の不安定化を招く恐れがありますので、一般的には後者の方法によることが多いです。

その際、注意が必要なのは、譲渡・贈与を行う前に他の対策によって評価額を下げてから行うということです。すなわち、評価額が高いまま譲渡・贈与を行ってしまうとその段階で多額の税負担を招いてしまいますので、評価額を充分に下げてから行うのが鉄則となります。

以上が大きく分けた、評価額の押し上げ要因とその対策例ですが、各要因について個別に見ていくとそんなに複雑な対策を講じなくても評価額の引き下げができそうに思われます。しかし、実際に行動に移すとなると、思わぬところで他の要素にマイナスの影響が出たりして、簡単には充分な目的を達することができないということがわかってきます。その理由については様々ですが、時間をかけてじっくり取り組むという姿勢がここでも大切なことは全ての要素に共通しているといえます。

【まとめ】

以上相続税対策を中心に、オーナー経営者としていかにスムーズかつ安全に自社株を譲渡していくかの説明を行ってまいりました。
非上場かつ規模も中堅もしくは中小である企業は、わが国における企業の大多数を占めますが、それらの企業のほとんどでいずれ問題となる事業と株式の承継については、各企業でなるべく早期から着手すべきです。
この問題はなかなか手をつけづらい問題ではありますが、先送りにしても解決しないばかりか企業自体の存続にも関わってくる問題に発展してしまいますので、その重要性は再度認識していただきたいと思います。

また、今回ご説明しなかった手法として、従業員持株会の設置やデット・エクイティ・スワップを活用した評価引き下げ策や、事業分離や持株会社化を利用したスキームなど会社法の制定に伴う多種多様な対策が可能となってきています。

オーナー経営者にとっては自ら所有する会社でもあると同時に、従業員としては大事な職場であり、取引先としては大事な取引相手でもあるように、企業には社会的な側面もありますので、是非無事に次の世代や、後継者などに引き継がれていけるように、この問題解決の優先順位を高く考えていただきたいと思います。

(参考)中小企業のための事業承継の税務と対策 石丸善博 著
新しい事業承継対策と実務手続 平野敦士他 編著

公認会計士 藤田 博司
[2008年9月11日 掲載]


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