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相続税

第6回 自社株の評価額に対する対策

前回までで「だれに」、「いつ」及び「どのように」自社株を譲るかという問題について説明いたしました。
これらが決まると、次は自社株の評価に対する対策について考えることになります。
前回お話ししましたように、譲渡の相手が変わると目指すべき方向性自体が変わってくることがありますので、まず自社株の評価額や自社の事業価値を低める必要があるのか、高める必要があるのかを明確にしなければなりませんし、これが明らかにならないまま対策を行うと全然期待とは違う結果を生じる可能性もありますので、注意が必要です。

では自社株の評価額に対する対策についてですが、上場株式については評価額すなわち時価については原則として市場で決まるものであり、相続対策等という理由で意図的に評価額を引き下げたり、引き上げたりすることは株価操作として法律に違反する恐れがあります。したがって上場株式については自社株の評価額に対する対策は限定的、結果的なものとならざるを得ません。

これに対し、非上場の会社においては上場企業におけるような制限があまりありませんので、比較的自由度の高い対策を講じることができるといえます。
以下に具体的な対策について述べていくこととします。

(1)自社株の評価額を引き上げたい場合の対策例

この場合は主として事業を売却するケースであり、オーナー経営者としての創業者利潤を実現する場合に該当する場合の対策となります。
このケースにおいて一番効果的なことは、業績を向上させて利益を計上することになりますが、それ以外でも効果的な対策はいくつか挙げることができます。

  1. 滞留在庫や滞留債権など不良資産は早期に償却する。すなわち、貸借対照表における総資産を圧縮することで、総資産利益率などの経営指標が改善されることになる。
  2. 役員借入金などオーナー経営者と会社との取引はなるべく精算しておく。すなわち、事業を継承する外部の者にとって、前経営者との債権債務はなるべく引きずっていないほうが引き継ぎやすいという面があります。
  3. 運転資金をなるべく多めに維持する。会社にとって、資金繰りの重要性はあらためて説明するまでもないことです。運転資金が安定していればいるほど、事業の取得者にとって魅力的な会社に映ります。

(2)自社株の評価額を引き下げたい場合の対策例

この場合は自社株の譲渡を相続税対策の一環として、なるべく総額としての税金の負担を軽くするために行う対策が代表的です。まず自社株について現状の評価額を算定し、当該評価額についてどの要因が評価額を押し上げているのか、その原因の究明が必要となります。原因が判明したらそれに対する対策を行っていけばいいというわけです。
一般的に評価額を押し上げる要因としては、以下のものが考えられます。

  1. 会社の区分
  2. 評価に用いる要素
  3. 保有する株式数

これらは財産評価基本通達における非上場株式の評価が基本にあり、その計算結果として導き出される自社株の評価額の決定要素そのものであるか、それと関連の深い要因です。
そこでこれらの要因ごとに対策を採る際の考え方を次回以降で説明いたします。

(参考)中小企業のための事業承継の税務と対策 石丸善博 著
新しい事業承継対策と実務手続 平野敦士他 編著

公認会計士 藤田 博司
[2008年7月10日 掲載]


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