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第2回 中小企業に問われている事業承継への課題
はじめに
第1回で、「現在、事業承継対策が中小企業経営者の喫緊の課題となっている」「なぜ事業承継対策が必要であるのか」など事業承継対策を取り巻く背景について説明しました。
第2回は、事業承継対策の現状を掘り下げながら、「事業承継対策の現状と問題点」「事業承継対策の4つの視点」について説明いたします。
事業承継対策の現状と問題点
中小企業白書(2006年版)によれば、中小企業の社長の平均年齢は約57歳まで上昇しています。一方、適切な後継者が見当たらない理由で廃業を検討している中小企業は、年間廃業社数(約29万社)の24%を占めると推測されます。中小企業にとって事業承継対策は大切で必要な課題であるにも関わらず、現状は進んでいません。
事業承継対策が進まない最大の問題は、社長が引退時期を迎えつつある中で事業承継の準備が不足していることにあります。そこで、準備不足の要因を体系化し整理してみると、要因は経営者側、後継者側それぞれに見られます。
[1] 経営者側の要因
- 中小企業は会社の所有と経営が一致しているため、社長に株式の過半が集中している。そのため、社長が後継者に経営を譲っても所有(株式)まで承継されない。
- 中小企業の社長は金融機関からの借入に対する個人保証が多いので、事業を後継者に承継する場合に障害となる。
- 経営を離れることについて自ら早期に準備する動機が沸きにくい。
- 中小企業の社長は退任後の生活に対する不安を抱いている。
- 社長として会社内の影響力をいつまでも維持し続けたい。
- 事業承継問題は今日・明日に発生する性質ではないため、日常の業務と比較して優先順位が下がっている。
[2] 後継者側の要因
- 社長の死を想起させる問題なので、後継者側から言い出し難い。
- 相続の話は、社長が元気な間は親族間で話題にしづらい。
なお、中小企業白書(2006年版)によれば、既に後継者を決定している企業の場合でも、実際の準備状況を「不十分である」とした企業は80%を占めています。
事業承継対策の4つの視点
事業承継対策の準備不足を解決するためには、「企業経営」「後継者教育」「経営環境」「相続対策」の4つの視点から取り組むことが効果的です。中小企業白書(2006年版)によれば、後継者教育や経営環境の準備に取り組んでいる企業は多い一方で、企業経営や相続対策など専門知識が必要なものに取り組んでいる企業は少ないようです。4つの視点の具体的な取り組み項目は次のとおりです。
[1]企業経営
- 事業承継計画を策定し実施する。
- 経営権を後継者へ集中させるために、種類株式などを活用する。
- 経営権を後継者へ委譲し集中させるために、株式を生前贈与する。
[2]後継者教育
- 後継者を事前に自社勤務させ、経営に必要な経験を積ませる。
- 後継者に他社勤務や海外留学をさせて、多様な経験を積ませる。
- 後継者に財務や法務を含めた経営に必要な知識を与える。
[3]経営環境
- 社内関係者(役員や従業員)から後継者への理解が得られるように努力する。
- 社外関係者(取引先や金融機関等)から後継者への理解が得られるように努力する。
[4]相続対策
- 相続財産の把握や自社株評価額の算定により税負担額を確認する。
- 相続時清算課税の利用など最適納税方法を検討し選択する。
- 相続紛争を防止しながら資産を後継者へ集中させるために、遺言を作成する。
(出典:中小企業白書(2006年版) 中小企業庁)
中小企業診断士 中村 俊雄
[2007年5月10日 掲載]
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