![]()
第4回 勤務延長と再雇用(2)
3.継続雇用制度導入までにステップ
ステップ(3) 「社員対応」
(7) 社員説明会の実施
制度の内容が決定したら継続雇用制度の説明会を早い時期に実施します。継続雇用制度の内容はもちろんのこと、会社の目的や方針、継続雇用時に社員に求めることなどをはっきりと説明し、社員に認識してもらいます。その上で労働条件の変更点を説明し、個別の事情を併せて相談に応じることも欠かせません。
(8) 継続雇用の希望の聴取・決定
継続雇用制度の趣旨について十分に理解してもらったうえで、継続雇用を希望する者を募集します。希望者については先に決めた雇用基準により具体的かつ客観的な理由を持って該当者を決定しましょう。その理由のいかんによっては、後々トラブルとなることも想定されますので、十分に検討を行ってください。
(9) 個別労働条件の検討・個別面談の実施
継続雇用が決定した社員については個々の労働条件を設定していきます。その際には、以下のような事項について検討していくことになります。
- 担当職務の決定
- 就業時間の決定
- 給与額の決定
- 在職老齢年金及び高年齢雇用継続給付との併給検討
- 賞与・退職金の検討
- 契約更新条項の検討
ステップ(4) 「制度運用」
(10) 個別労働契約の締結
継続雇用契約書を策定し、社員と個別に契約を行います。契約は遅くとも継続雇用開始日の1ヶ月前までには済ませるようにしましょう。会社の規定どおり、定年退職をしたときには、退職金の支給などを速やかに行います。継続雇用の日には、社内発表をするなど、再雇用者としての意義付けを行うとよいでしょう。
(11) 労働・社会保険の手続き
考えられる手続きは、以下のとおりです。
<労働保険>
雇用期間に空白がなく、引き続き雇用されている場合には、被保険者資格は継続するものとして資格喪失や取得の手続きは発生しません。
ただし、週20時間未満の短時間勤務になった場合、または週20時間から30時間未満の勤務となった場合は、資格喪失の手続きもしくは区分変更届が必要になります。
(注) 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請手続き
60歳到達時において被保険者であったものが、高年齢雇用継続基本給付金を受給する場合には、会社は、初回の申請時に管轄のハローワークに手続きを行わなければなりません。
<社会保険>
雇用保険と同様に定年退職により退職しても、日にちをあけることなく再雇用された場合には、被保険者の資格は継続し、資格喪失及び資格取得の手続きは必要ありません。
しかし、再雇用などで給与額が低下したにもかかわらず、標準報酬月額の随時改訂があるまで標準報酬月額が下がらないとすると被保険者の保険料負担が厳しくなりますので、この場合には「同日得喪」の特例により、継続雇用後の給与額により標準報酬月額が決定されます。また、社会保険の加入用件を満たさなくなった場合は、資格喪失の手続きが必要になります。
(注) 特別支給の老齢厚生年金裁定請求手続き
60歳に到達し、特別支給の老齢厚生年金の受給資格を満たしているものは、裁定請求をする必要があります。
【参考】~注意!~
本人と会社の間で給与と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否した場合には法律違反になるのかどうか?
(答)なりません。改正高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、会社に定年退職者の希望に即した労働条件での雇用を義務づけるものではなく、会社の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、社員と会社との間で労働条件などについての合意が得られず、結果的に社員が再雇用されることを拒否したとしても、法律違反となるものではありません。
ただし、平成25年3月31日までは、その雇用する高年齢者等が定年、継続雇用制度終了により離職する場合であって、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、事業主は再就職援助の措置を講ずるよう努める(努力義務)こととされていますので、高年齢者が再就職を希望するときは、会社は求人の開拓など再就職の援助を行ってください。
社会保険労務士・ファイナンシャル・プランナー 成岡 英律
[2006年7月28日 掲載]
