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第4回 役員給与の改正(2)
(2)定期同額給与
1.定期同額給与の意義
損金算入が認められる定期同額給与とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

2.届出は不要
事前確定届出給与のような「届出」の必要はありません。
3.増額改定は限定
増額改定が認められるのは、ケース(2)の3月以内改定のみであり、上記ケース(3)の経営悪化の場合では、減額改定に限定され、増額改定については規定されていません。従って、増額改定があった場合には(ケース(2)に該当する場合を除き)条文上は増額改定前及び増額改定後の支給額のいずれも定期同額給与に該当しないことになるため、通達等で何らかの手当てがされない限りは、全額が損金不算入として扱われると考えられます。
4.3月以内改定後の減額又は増額改定
上記のケース(2)及び(3)の併用の場合、例えば、会計期間開始の日から3ヶ月以内に改定を行い、その後、業績悪化等により減額改定した場合には、3月以内改定後の役員給与は全額が定期同額給与に該当しないことになります。
つまり、条文上、ケース(2)の3月以内改定の場合には、改定前定期同額給与と改定後定期同額給与は別に規定されているため、定期同額給与に該当するか否かは、それぞれ個別に判定されますが、ケース(3)の業績悪化減額改定の場合には、改定前及び改定後の定期同額給与はいずれも定期同額であることが要求されるためです。
ただし、この規定を文理上の解釈により厳密に取り扱った場合には、業績悪化等の企業に対して、高額な税負担など大きなダメージを与えることになるため、今後の通達等で救済される可能性も十分に考えられます。
なお、3月以内に業績悪化等による減額改定を行った場合には、ケース(2)の3月以内改定の規定が適用されます。
5.複数回減額改定した場合
経営悪化等の理由により、ケース(3)の減額改定を行った後、更なる経営悪化により、再度減額改定した場合には、「当該事業年度の当該改定前の各支給時期における支給額及び当該改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与」の要件には該当しないことになるため、通達等で何らかの手当てがされない限りは、全額が損金不算入として扱われると考えられます。ただし、これに関しても、今後の通達等で救済される可能性も十分に考えられます。
平成18年税制改正が施行されて以後、個別的なケースを想定すると、まだ不明な点が多く、課税庁のほうでもさまざまケースで取扱を整備しているのが現状のようです。
6.遡及増額分の一括支給
現行の法基通9-2-9では、定時株主総会の決議により事業年度開始の日に遡って増額改定し、その遡及増額部分を一括して支払った場合には、役員報酬として損金算入が認められていました。
今回の改正により、損金に算入できる役員給与は法法34の限定列挙型の損金算入制度に改められました。この改正により損金算入される役員給与は、基本的には、いずれも「その役員の職務執行前にその職務に対する給与の額として、支給時期・支給金額などが事前に定められているもの」に限られています。
従って、既に職務が終了した期間について遡及増額して一括支給される給与については損金不算入とすることが、国税庁「役員給与に関するQ&A」(H18.6)で明らかにされています。
7.役員歩合給
現行の法基通9-2-15では、役員に対する歩合給については、原則として「使用人に対する支給基準と同一の基準」により支給するものは役員報酬として損金算入が認められています。
ただし、今回の改正により、損金に算入できる役員給与は法法34の限定列挙型の損金算入制度に改められました。役員歩合給は、この法法34の限定列挙される役員給与のいずれにも該当しないため、本通達も廃止される可能性が高いと考えられます。
8.使用人兼務役員の使用人分給与
使用人兼務役員の使用人分給与は、法法34の役員給与から除外されていますので、基本的には使用人に対する給与として取り扱われます。
ただし、いわゆる賞与については、使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額は損金不算入とされます(法法34(2)、法令70(1)三)(損金経理要件は廃止されています)。
また、ここでいう「使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与」には、現行の法基通9-2-17による「適正額」要件がありますから、それを超える部分の金額は役員給与(賞与)とされ、現実的には損金不算入になると考えられます。
〔3〕事前確定届出給与
1.意義及び要件
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与のうち、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出(「事前確定届出給与に関する届出書」)をしている場合における当該給与をいいます(定期同額給与及び利益連動給与を除く)。
<要件>

2.職務の執行を開始する日の意義
職務の執行を開始する日は、その役員がいつから就任する者であるかなど、個別の事情によって判断することになります。
会社法において、役員の選任や職務執行の対価の決定は、株主総会の決議により行われることになります。また、取締役は計算書類を定時株主総会に提出してその承認を受けなければならないと規定されていることから、役員の職務執行期間は定時株主総会から、次の定時株主総会と解するのが相当と考えられ、この場合、職務執行開始日は定時株主総会開催日ということになります。
ただし、3月決算法人が5月26日に定時株主総会を開催し、翌月6月1日から開始する職務に対して役員給与を定めるようなケースも考えられます。このように、職務執行開始日を定時株主総会開催日以外の日に定めた場合であっても、その日が定時株主総会の翌月初であり、かつ、定時株主総会の日に近接する日であれば、税務上も、「職務執行を開始する日」として是認しえるものであることが国税庁「役員給与に関するQ&A」で明らかにされています。
3.現物資産による給与
事前確定届出給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与がその対象になります。従って、現物資産による給与など支給金額(支給時における資産の時価)が確定していないものについては対象となりません。
4.届出支給額と実際の支給額が異なる場合
事前確定届出給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与がその対象になります。
一般的に、あらかじめ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、そもそも「事前に支給額が確定していたもの」とは言えないことから、事前確定届出給与には該当しないことになります。
つまり、増額支給の場合には、増加部分だけでなく支給額の全額が損金不算入となり、減額支給の場合にも支給額の全額が損金不算入となります。
5.非常勤役員の年俸等
改正前法人税法35(4)では、役員賞与は損金不算入としながらも、損金不算入の例外として、「他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎期所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの」を規定していました。これは非常勤役員の年俸等を念頭にされていたものであり、例えば、年1回又は2回所定の時期支給の非常勤役員年俸などがこれに該当します。
平成18年税制改正により、役員賞与関係の規定が全面改正されたため、損金算入される役員給与については限定列挙となりました。従って、同様のケースでの支給を損金に算入するためには事前確定届出給与として、あらかじめ届出が必要となります。
6.提出期限の経過措置
平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度については、提出期限が平成18年6月30日以前であってもこれを平成18年6月30日とする経過措置が講じられています。
ただし、この経過措置は職務執行開始日までに給与についての定めがされたものに限り適用されますから、過去の勤務期間のいわゆる遡り支給については、当然に適用はありません。
<参考文献>
「役員給与の税務40問40答」杉田宗久・備後弘子(清文社)
「18改正税法のすべて」(財団法人日本税務協会)
税理士 高橋 勤也
[2007年3月8日 掲載]
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