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第1回 同族会社の留保金課税

1.概要

留保金課税とは、特定同族会社が内部留保した金額について、追加的に課税する制度をいいます。会社の利益を株主に配当した場合、株主側の所得として課税の対象となります。この株主側の課税を避けるため、特に同族会社においては、配当を行わないで利益を社内に留保することが考えられ、このような過度な社内留保による課税の繰延を防止するために設けられた制度です。

2.留保金課税の基本算式

3.改正点

今回の改正では、対象法人の判定方法が従来の3グループ判定から、1グループ判定に緩和されたこと、及び会社法施行との関係から判定基準に議決権が加えられたこと、及び、実質基準が導入されたことがポイントとなります。(ただし、この判定基準の変更はあくまで留保金課税の対象となる特定同族会社についてのものであり、その他規定(行為計算否認、みなし役員の判定)に影響を及ぼすものではありませんので注意が必要です。)
対象法人要件を緩和した分、適用停止措置を縮小したようなイメージです。

改正項目 改正前 改正後
対象法人 同族関係者3株主グループで50%超保有していること 「特定同族会社」
同族関係者1株主グループで50%超保有していること(法法67(1)(2))
又、判定基準に議決権等が加えられました(法令139の7(2)(3)(5))(注1)
留保控除額 所得基準 所得等×35% 所得等×40%
(中小特定同族会社は50%)
(法法67(5)一)
定額基準 年1,500万円 年2,000万円
(法法67(5)二)
積立金基準 資本金×25%-利益積立金額
(法法67(5)三)
自己資本比率基準   中小法人において、自己資本比率(注2)が30%未満の場合における、その満たない部分の金額
(法法67(5)四)
適用停止措置 設立後10年以内の中小企業者 平成18年4月1日以後開始する事業年度から廃止
自己資本比率が50%以下である中小法人(資本金1億円以下)
中小企業新事業活動促進法9(1)、10(1)の承認を受けた中小企業者に該当する同族会社で、承認経営革新事業を実施している事業年度(平成18年3月31日までに開始する各事業年度に限ります) 中小企業新事業活動促進法9(1)、10(1)の承認を受けた中小企業者に該当する特定同族会社で、承認経営革新事業を実施している事業年度(平成20年3月31日までに開始する各事業年度に限ります)
(措法68条の2)

(注1)この場合の議決権とは、下記の議決権をいいます。

  1. 事業の全部若しくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転又は現物出資に関する決議に係る議決権
  2. 役員の選任及び解任に関する決議に係る議決権
  3. 役員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社が供与する財産上の利益に関する事項についての決議に係る議決権
  4. 剰余金の配当又は利益の配当に関する決議に係る議決権

(注2)自己資本比率=自己資本の額÷総資産の額

自己資本の額は、特定同族会社の前事業年度終了の時における資本等の額及び利益積立金額の合計額としますが、その特定同族会社の同族株主等に対する負債(借入金その他利子の支払の基因となるものに限られます)の額がある場合にはこれを加算して計算されます。
総資産の額は、特定同族会社の前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表上の帳簿価額をベースに計算しますが、圧縮積立金、特別償却準備金、減価償却累計額、その他有価証券評価益などは減額し、その他有価証券評価損の金額は加算して計算されます。

4.対象会社判定の場合の議決権行使の同意者

同一株主グループの判定においては、持分の他、議決権ベースでの保有割合を考慮することは上記3のとおりですが、「個人又は法人との間でその個人又は法人と同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合には、その個人又は法人がその議決権にかかる会社の株主等であるものとみなして」実質的な株主等を判断することになりました(139条の7(6))。

5.適用時期

この規定は、平成18年4月1日以後開始する事業年度から適用されます(改正法附則23)。

<参考文献>
「18改正税法のすべて」(財団法人日本税務協会)

税理士 高橋 勤也
[2006年10月12日 掲載]


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